こぐらす日記

ここは思いついたことをただ呟くところで話バラバラ気分次第

「ジョゼと虎と魚たち」

 映画は見たが原作はよく考えたら読んでいなかった「ジョゼを虎と魚たち」を読んでみた。これは田辺聖子が50代の頃の作品で、書いた時代は80年代だ。読む前にそんなことを確認したわけではないが、読んでいて「ああ80年代か」と思った。なまめかしいので。短編がいくつか載った角川文庫だが、全体になまめかしモノで、解説も山田詠美ときている。

 自分自身、人のことは言えないけれど、あの時代は、なまめかしいというかいやらしいこころを抱えた様をなんらかの形で自慢するかのように晒しながら日々過ごすのがトレンド?なのだった。

 今ふりかえると、疲れる。ええやろそんなんもう、と思う。現在の年齢のせいだといえばそれは完全には否定できないが。でもあの時代だと、仮に60代でもそこそこいやらしい心を持てたんではないか。田辺聖子は50代だった。

 映画の「ジョゼと虎と魚たち」には、そういったものは感じなかった。そういったものとは別の部分をとらえての映画化であった。男女のなまめかし世界ではない、個と個の間のなまめかしさが描かれている。

 この映画の製作年は2003年だ。で、脚本は渡辺あや。監督が男性であることもあるが、あああのなまめかしい80年代からは違うところに立っているんだと感じる。

 アニメもあるようだが未見。

 

※あれこれネットをさぐっていたら舞台が被差別部落説というのに出くわした。そうかもしれないしそうではないかもしれないが、どっちにしても、それ、この作品においてはかなりどーでもいいポイントではないか?と思う。