こぐらす日記

ここは思いついたことをただ呟くところで話バラバラ気分次第

「大阪」岸雅彦 柴崎友香 

 

 ぱらぱらあちこち、読んで、期限がきたので返却した借りだし本。とりあえず図書館で借りて、もっと読めそうだなという本だと買う。そういう購買パターンなんだけれど、これは購入しないかもしれない。面白いんだけれど。でも。自分とは別のところというか。

 

 大阪 と言われてしまったけれども、あまりにも実際には知らないタイプの大阪なので、やや茫然としてしまったのだ。登場する大正区も、大阪市内の南部分も、行くこと行ったことはあった。でも、知らない。ちょっと行ったことあるでは知ったことにはならないから。旅先のどこかとあまり変わらないわけだから。あるいは、柴崎さんの話題に出てくる、大丸百貨店への思いは、現在アメリカ村と呼ばれるところにあった南中学校出身で、御堂筋挟んで向かい側になる大丸の地下が中学帰りの寄り道処だった私の思いとは、ちょっと違う。改装されても元の風情が残されたことへの深い安堵感は同じなのだけれど。

 

 大阪と言っても、ひとひとりひとり、その人の大阪なんだということを思う本だった。これはなかなかこれまで無かったことだ。大阪に関して語った本にはいつもおおむね、単純にそうだそうだと共感できてしまっていた。大阪といってもいろんな場所があって、実際にはそのどこもかしこもを自分は知っているわけではないのだが、よく知らなくても大阪だからわかる気がするで、満足していたと思う。

 しかし、このおふたりの話には、そういう感じの共感はなかったのだった。岸さんと同じころにミナミで飲んでいた時代があっても、ミナミが違う。それは単純に行く場所が違うということではない。